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アーユルヴェーダでは、人の身体の源にある力「活力素」を「オージャス」といい、オージャスの有無で脊髄や生殖器まわりの力・ホルモンが生成されると考えます
オージャスがつくられるには、その人の身体の「消化力」= 「アグニ」の調子が重要だとしています
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消化の火「アグニ」
アグニが強いとオージャスが高まり私たちは毎日を生きやすくなります
アグニのはたらきは大きく3つあります
・食物の滋養を取り込む力
・体内の未消化物 – 毒素を排出させる力
・思考や心の作用を一貫性あるものにし、人生を経験する力
アグニは、体内に取り込んだものを必要に応じてエネルギーに変換させる役割を担っているため、食べ物に限らず日常での体験や、そこから起こる感情や思考の変換・処理能力も含みます
何であれきちんと消化できることが大切で、
それに伴いアグニを日頃からバランスさせることが重要になってきます
アグニがバランスしているか、
整った消化力があるかどうかで、
私たちの口にしたものは
毒素になるか滋養になるかが決まります
またアグニが弱くなりその状態が続くと
身体的にも心的にも免疫力が低下しやすく
食物 – 感情が充分消化されずに停滞します
それが、消化不良や浮腫み、肥満、便秘等の不調の原因です
それ故、“ アグニは生命力 ” ともいえるのです
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身体のアグニ

例えば
食事が消化しきっていないうちに
間食をしたり冷たい飲み物を飲むと、
アグニを弱めてしまいます
胃のなかで食物が酸化・発酵することで
消化不良が起き、未消化物がつくられやすくなります
食事時、大量の水を飲むのは消化液を薄め、
よく噛まずに飲み込まれた食物はきちんと消化されません
ラジャスな性質が主となるジャンクフードや
タマスな加工品を多く食べることも、
私たちの身体を自然な状態から離らかすことになります
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心のアグニ

怒りや不安、恐怖心、心配、焦り‥
これらのエネルギーは低い次元のもので
私たちの生きる力(正気)を奪います
また、人生での体験から得る感情が
食べ物を消化させる力にも直結しますので
怒りや悲しさを抱えて食べること、
心配事を口にしながら食べることも
身体の消化器官がそれに反応しアグニを弱くしてしまいます
よろこびをもって、
穏やかな気持ちで感謝して食物をいただくこと
このことがシンプルだけれどとても大切なのです
自分の人生での体験を経験しきる、
安定した健やかのためには
そのような勇気と受容が不可欠です
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全員それぞれ違う個性がある
アグニの良好加減は人によって、
体質によっても多少異なります
ヴァータやピッタ優位な体質の人では
消化スピードは比較的早く、
カパ優位な人では
消化に時間がかかる傾向があります
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アグニの世話をする
自分の「アグニ」を
生活の中でどの様に保っておくのかがとても重要です
このアグニの状態が
免疫力、生命力、幸福感を養ってくれます
アグニの支えによってオージャスが蓄積し、
体内が整うとき、その人の瞳はキラキラ輝き、
皮膚も艶やかな状態にあります
気分も安定していて、
排便は毎日 1 日 1 ~ 3 回出ます
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食べる物の前に
食べる体について知る
なにか食べたいという欲求を優先する前に、
“ 体は何を欲しているか ” を考えてみましょう
これが、アーユルヴェーダ流の食事の根源です
脳が美味しいと快感的に感じるものと
体が美味しいとよろこぶ内臓への滋養は、
現代の私たちにとっては一致していないことが往々にしてあります
激辛な食事や肉ばかりの重い食事では、
脳にとっては快感でも
身体にとっては負担になります
消化に最も適した時間帯、
日中にメインとなる食事を摂り
夕方以降は消化力がゆるまるのに呼応して
少量のやさしい食事を摂る
これも一つ、アグニのケアに沿う大切な実践内容です
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アーユルヴェーダ省察プラクティショナー
K a o r i