アーユルヴェーダが「食べ物は最高のお薬 」といっているのは、
食べもののもつ性質・作用 = 自然界のエネルギーそれ自体であり、私たちはそれを食べることで身体・心にその影響を受け入れ生きているという本質に基づいているためです。
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ひとの組織に必要な
「6味 」
アーユルヴェーダでは
食べ物には「 6 つの味 」があるとしています。
・バランスの良い食事では、これら6つの味がすべてバランスよく取り入れられています。
すべての味が感じられるの = 体に必要なものがすべて揃っているということ。
・体質や天候によっては、どれかを多めに補う必要もありますが、6つの味が網羅できていることが基本です。
・どれか一つの味が強く突出しているということはそれだけ「その味の作用」が強く心身に影響するために副作用も生じます。
食後にまた他のものをすぐに食べたいと感じる(激辛→甘いもの)とか、消化不良が現れます。
「 味 」は心にも作用する
6の味にはそれぞれ五大元素の性質が関係しています。
辛味は火の元素が。甘味は地の元素が、苦味は風の元素が。・・
私たちの身体と心はバランスを求めている故、偏食などで偏った味を常食していると、心にもそれが作用し、影響を受けた心はそれに呼応して「またその味」を求めるようになります。
・イライラしたときに辛いものを求めたり、
食物に抵抗を抱き食べることを苦に思うと苦味を中心としたものを食べるようになります。
〝似たものが似たものを引き寄せ〟るのです。
〝相反するものがバランスをもたらす〟というアーユルヴェーダのことわざの通りに、私たちは「自分が渇望している味」があるとしたら「その原因」を見つめることが必要になります。
[6つの味とその性質 ]
甘 |
- 甘味は重、湿、冷の性質です
甘味は「地」と「水」の元素に関わりがあります アーユルヴェーダでは甘味という言葉にあらゆるレベルで 体の全組織に栄養を与える、という意味をこめています 栄養価の高い食べ物のほとんどは、 口当たりの良い、偏りのない味わいです アーユルヴェーダにおける甘味とは、 栄養満点の良質な食べ物についてであり、 砂糖や人工的なそれではないということを覚えておいてください パン、米、ナッツ、オイル、牛乳、 熟れた果物、人参、ビーツ、さつまいも、 カボチャのような食べ物には甘味があります (主にオーグメンティングの性質の食べ物です) 甘味はヴァータとピッタを減らし(鎮静)、カパを増やします 甘味は心身に滋養を与え、満足感をもたらします 甘味を摂りすぎると欲深になります
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塩 |
- 塩味には重、湿、温の性質があります
塩味は「火」と「水」の元素に関わりがあります 海藻や醤油がいい例です 塩味はヴァータを減らしピッタとカパを増やします 塩味は体が老廃物を輩出するのを助け、 体の組織を柔らかくし、生きることへの熱意をかきたてます 塩味を摂りすぎると、渇望と感覚的快楽の耽溺の原因になります
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酸 |
- 酸味には温、湿と重の性質があります
酸味は「地」と「火」の元素に関わっています 柑橘系、チーズ、酸っぱいリンゴ、トマトなどがそうです 酸味はヴァータを減らし、ピッタとカパを増やします 酸味は排泄を促し、食欲と消化を改善します 酸味はラジャス(動性、刺激性)の性質があり 心を外向的にします 本来なら内側で充足感を感じるはずなのに、 外部にそれを求める働きを促します 酸味を摂りすぎると嫉妬や羨望を感じる原因になります
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辛 |
- 辛味は熱、軽、乾の性質をもっています
辛味は「風」と「火」の元素に関わりがあります 生姜、唐辛子、ラディッシュ、大根、 ほうれん草、カブ、フェンネルは辛味の食べ物です 辛味はヴァータとピッタを増やし、カパを減らします 辛味は母乳や精液や脂肪分泌を促し食欲を改善します 辛味を取り入れると外向的になり、 強度を渇望するようになります 辛味を摂りすぎると短気と怒りの原因になります
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苦 |
- 苦味は冷、軽、渇乾の性質です
苦味は「空」と「風」の元素に関わりがあります 緑葉野菜、ナス、コーヒー、お茶は苦味の食べ物です 苦味はヴァータを増やし、ピッタとカパを減らします 浄化し、乾燥させつつ、すべての味を 正常なバランスのとれた状態へ戻す手助けをします 食欲を増進させ、性欲抑制の作用もあります 苦味は不満と変化への強い欲求を引き起こし、 強制的に現実を見つめるよう仕向けます 苦味が過ぎると焦燥や苦味のある態度につながります
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渋 |
- 渋味は冷、軽、乾の性質です
「風」と「地」の元素に関わりがあります 豆類、アブラナ科の野菜、クランベリー、 ジャガイモ、ライ麦などは渋味の食べ物です 渋味はヴァータを増やし、ピッタとカパを減らします 渋味は治癒や浄化、体に閉じ込めるという作用があります 渋味は分泌を減らし、性欲の抑制作用があります 渋味を取り入れると内向性が増し、 刺激や興奮から離れる傾向があります 内向性が過ぎると、不安、自信喪失、恐怖心につながります
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6つの味すべてが一食ごとに揃っていることが理想です。 かといって、 白砂糖や加工された塩などを足すのはいい考えではありません。 一つ一つの味は自然の素材から生まれるもので、バランスの整った食事ではそのどれもが存在しているはずです あなたのドーシャの組み合わせ、あなたのアグニの状態、そして季節によって、 6つの味のどれかを強調させる必要が生じます。
バランスを乱しているときは、 一つか二つの味を強く欲し、 残りの味は忘れてしまう傾向があります ですがその味に感じる渇望に従えば、さらなるバランスの乱れを引き起こすことになるでしょう。
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【参考文献:マイラ・リューイン「もっと自由に」より】
原因と結果を見つめる
今の気分から、原因と結果を繋ぐこと。
このことにこそすべての真髄があることをヨガとアーユルヴェーダの匠マイラは教えてくれました。
自分が何かの味を繰り返し(強く)求めているとき、それは人生や物事においてもそのような態度が表れているということ。
「辛いものが大好き」
「甘いものが大好き」‥というとき、
それは好みや個性というより、実際には〝欠け〟ているものや〝過ぎ〟ているものを見せてくれているのかも。
それを知る目安として、アーユルヴェーダの元素 – 味への理解は大切だと感じます。
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>> 食べ物の性質【3つのグナ】
アーユルヴェーダ省察プラクティショナー
K a o r i
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