【 アーユルヴェーダ的にみるスパイス・ハーブの効果効能 】

アーユルヴェーダでは食物をお薬として扱います。

旬の野菜は自然のエネルギーを最大に得られるもので、それらを体内に取り入れる際に滋養を最大限取り込めるようスパイスやハーブを、日本料理ならば薬味等を用いて調理します。

消化を支えるほかに、解毒を促すことが大切で、食べることによって過不足なく身体の調子が良くなることを食事で重要としています。

食事にこめられた原理・要素・味は、そのまま肉体や精神へ影響することから、アーユルヴェーダ的解釈では「おいしい食事」=「身体と心によい食事」といった見方でこれに取り組みます。



スパイスやハーブを料理に使う3つの理由

1 . ドーシャバランスを整える

身体はいつでもバランスを求めているというのがアーユルヴェーダの考えです。

“ ドーシャ ” は、私たちのエネルギー・体質・特徴を表します。
ドーシャは今この瞬間にも変動していて、バランスとアンバランスを常に経験するため、スパイスやハーブを適当に取り入れることでバランスすることに貢献できます。
スパイスの多くは温め(熱)作用を持ちますが、細かく見ると「うっ血を和らげる」「血液を循環させる」「腎臓を守る」「抗菌作用」など効能は様々です。

ドーシャの状態・傾向からそれに見合った調合でスパイスを取り入れられると、より効果的です。

2 . 6つの味を網羅できる

アーユルヴェーダでは「一度の食事で6つの味」を薦めています。

甘味  酸味   渋味 苦味 辛味  塩味
これらは自然界にある五大元素と関わりがあり、ドーシャにも直接影響します。
6つの味がバランスよく含まれた食事は身体と心を満足させます。

基本的に必要となる食材と、それに合わせてスパイスを取り入れることで食物の味が引き出されて 6 味が自然と揃うようになります。

基本的に必要となる食材ですが、
例えばお米やさつまいもには甘味が、
豆類には渋味やほのかに渋味が、
葉野菜などは渋味、苦味、辛味があります。
ライムやレモンでは酸味、塩味が感じられ、
醤油や味噌では、塩味と辛味と甘味が含まれます。

6 味のどれか 1 つの味が突出した食事を常食していると味蕾に始まりドーシャそのもののバランスも乱れやすく、消化不良の原因にもなります。

>> 体と心に作用する【6つの味】

3 . 食物の味を引き立たせる

上記と関連しますが、食材の味を最大限に味わうにはシンプルな調理法が一番。

スパイスでなくても、例えば新鮮でそれ自体に滋養が満ちている食物ではオイルや岩塩だけでも十分に美味しく食べられます。
それに伴いクミンやコリアンダー等のトリドーシャのスパイスは食事の味わいを広げて調和をもたらします。

甘味が主となるオーグメンティング食材さつまいもやカボチャにはシナモンやカルダモンが相性が良く、苦味渋味が主となるエクストラクティブ食材にはコリアンダーやターメリック、クミンがとても合います。


生命力美人の源
アーユルヴェーダスパイス・ハーブの効果効能

ラサ 初めに感じる味・そのものの全体的な味
ヴィパーカ 体内に入ってからの作用、消化後の味
ヴィールヤ 「温」または「冷」の質

クミン ガス抜き、解毒
消化を促進する
知覚向上
胃・腎臓を守る
妊婦によい

【ラサ】辛味
【ヴィパーカ】辛味
【ヴィールヤ】「温」

*すべてのドーシャを整える、特にヴァータカパを沈静させる

– 応用 –
・下痢や腹痛時にはホール状のものがよい ・様々な食材と合う

コリアンダー ガス抜き
肥満緩和
クーリング作用
尿路環境を整える
刺激性による消化促進
疲労回復、自然の抗ガン作用
消臭作用

【ラサ】辛味・甘味
【ヴィパーカ】辛味
【ヴィールヤ】「冷」

*エクストラクティブの性質
*すべてのドーシャを整える、特にピッタを沈静

カルダモン アグニ(消化の火)を刺激する
牛乳の粘液形成を抑える、乳製品の消化を助ける
疲労回復
整腸作用
喜びと活力を高める【ラサ】甘味・辛味
【ヴィパーカ】甘味
【ヴィールヤ】「温」「冷」の間でやや「温」

*ややエクストラクティブ寄り
*すべてのドーシャバランスを整える
*サットヴァ的

– 応用 –
・ベイクづくりにも用いられる

ターメリック 適量の使用で血液、マインド、肌を浄化
ナチュラルな抗生物質として抗菌作用がある
腸内細菌を強化する
新陳代謝を整える
チャクラの通り道を浄化する
※布など洋服につくと落ちないので注意

【ラサ】辛味・苦味・渋味
【ヴィパーカ】辛
【ヴィールヤ】「温」

*オーグメンティングの性質
*適量であればすべてのドーシャを整える

シナモン 血行・心臓・腎臓を強くする、整える
刺激作用があり消化や利尿を促す

【ラサ】辛味・甘味・渋味
【ヴィパーカ】甘味
【ヴィールヤ】「温」

*オーグメンティングの性質
ヴァータカパを沈静・ピッタを増やす

– 応用 –
・オーグメンティングと相性が良く、 甘味をより引き立たせる
・ベイクづくりにも用いられる

フェンネル クーリング
消化促進
新陳代謝を高める

【ラサ】辛味・甘味
【ヴィパーカ】甘味
【ヴィールヤ】「温」

*すべてのドーシャを整える、特にピッタを沈静する

フェヌグリーク 消化促進
体全体を再生する、活力を与える

【ラサ】渋味
【ヴィパーカ】辛味
【ヴィールヤ】「温」

ヴァータカパを沈静・ピッタを増やす

マスタード 刺激性による消化・血液循環促進
ガス・毒素を一掃
利尿作用・浮腫み解消
熱・油の性質をもつ
タンパク質の消化を助ける

【ラサ】辛味・苦味・渋味
【ヴィパーカ】辛味
【ヴィールヤ】「温」

*オーグメンティングの性質
*ピッタをバランス、ヴァータを鎮める

– 応用 –
イエローマスタードシードは ブラウンマスタードシードと比べて より辛味が強く、ヴァータピッタを増悪させやすい

クローブ 消化促進
ガスを一掃する
鬱血を軽減する

【ラサ】辛味
【ヴィパーカ】甘味
【ヴィールヤ】「温」

*オーグメンティングの性質

– 応用 –
作用が強いため少量を使う 魚・肉の毒消しにも使われる

ナツメグ 心を落ち着かせる(神経沈静)
吸収不良を助ける

【ラサ】辛味・甘味・渋味
【ヴィパーカ】辛味
【ヴィールヤ】「温」

*オーグメンティングの性質
ヴァータカパを沈静・ピッタを増やす

サフラン 組織への消化・吸収を素早くする
スパイスや食材の効果を高める
消化促進
月経周期を調整する
愛・慈悲・思いやりを養う
すべてのドーシャを整える

【ラサ】少しの苦味・甘味を含む辛味
【ヴィパーカ】辛味
【ヴィールヤ】わずかに「温」

*すべてのドーシャを整える

ショウガ 消化促進
ガス抜き
腹痛・吐き気を緩和させる
食欲を促進・整える
毒素排出
6つの味覚のうち5つを含む(塩味以外)
血流をなめらかにする

【ラサ】辛味・甘味
【ヴィパーカ】甘味
【ヴィールヤ】適量であれば温と冷の間の質

*適量であればすべてのドーシャを整える
*品質の良い生姜では 必要な6つの味のうち「塩味」以外の5つをもつ
*乾燥させたパウダーの生姜はより辛味が強い

ガーリック 少量の使用で毒素を緩和させる
熱性が高い
ラジャス性(刺激)が高く 常用としてはすすめられない

【ラサ】辛味・甘味・渋味
【ヴィパーカ】甘味
【ヴィールヤ】「温」

– 応用 –
・本来イタリアで少量を料理の際に使用していたもの 現在は濫用されていることが多い
・適量であれば洗浄としての作用が期待できるが、 大量に使うと消化官の炎症や ラジャス性を助長してマインドが興奮する
・一食当たり1~2枚の薄切りを医療目的として用いる
・ヨガやアーユルヴェーダではおすすめされない

シードとパウダーの違い

シードは実のままの状態ということになるので、パウダーよりも香りが強く、ものによっては効能もやや強く現れます。ものにもよりますが充分な熱と時間で火を通すことが必要です。

パウダーの方は粒子が細かくその分調理工程で食材に味として現れやすく、調理時間も短く済みます。パウダーは香りが立ちやすく手軽に使えるので慣れないうちはパウダーのみで調理してみるのも良いです。

手始めに揃えたいもの

クミンやコリアンダー、カルダモンから始めて 2 – 3 種もあればまずは充分です。
シンプルな野菜ソテーや滋養食「キッチャリー」はこれらがあれば美味しく作れます。
ここへギーと岩塩と生の生姜。これだけでもアグニを高める食事が簡単に作れます。

シンプルにつくれる/キッチャリーのレシピ

保存について

陽の当たらないところ、冷暗所で密封容器に入れて保存します。
スパイスにもよりますがおおよそ半年以内に使い切るのがよいでしょう。
冷蔵庫でも問題ありませんが、スパイスは天然ものなので冷蔵庫の冷気によって鮮度を失っていきます。

「スパイスはどのくらい、どう使うの?」


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